東京の中学クラブチームの否定。悪い練習内容とサッカーを辞めた訳

日本 サッカー 中学 高校 クラブチーム ジュニアユース 練習内容 走り込み ドリブル 個人技 テクニック 辞める 監督 指導者 選手




こんにちは、TETSUです。

 

私はスペインで第2監督を担当し、スペインサッカー監督ライセンスを取得しました。そして、日本でサッカー指導者をし、サッカーの試合分析もこのブログでは行っています。

 

よくこれを言うと驚かれるのですが、私は中学2年生までしかサッカーをプレーしていません

なにせ日本では、スポーツの指導者は選手人生が終わってから行う人が多く、それが当たり前のように思われているからでしょう。

 

それですが、私は現在もサッカー関係の職をしており、サッカーの試合も多く見ており、サッカーは大好きです。

では、私がなぜサッカーを中学2年生で辞めたのかというと、単純にサッカーをプレーしたくなくなったからです。

 

私は中学生になって、あるクラブチームに加入しサッカーをしていたのですが、そのクラブチームは良くも悪くも日本らしすぎるチームで、そこでサッカーをするとサッカーの楽しさが全く分からなくなっていたからです。(クラブチームの名前は控えますが、都内にある普通の中学年代のジュニアユースのクラブチームです。)

最近でも、日本のスポーツ界の指導者や指導方法が問題になっておりますが、そのような単純なチームだったので、当時の自分はそのクラブチームでサッカーを全く楽しめず、サッカーも知ることもでず、大してサッカーが上達もしていませんでした。

そして、当時の自分ではそのクラブチームの「何が、どうして悪いのか」という事が説明出来ませんでしたが、スペインでサッカー監督としての知識を多少なりとも身につけ、少しばかりは否定の正当化が出来るようになりました

なので、今回はその日本らしいジュニアユースのサッカーチームの問題点とその説明を記事にしました。

スペインのサッカーコーチングスクール、監督養成学校での最初の衝撃

2018.05.13

チームの方針と内容

その中学のサッカークラブチームの方針としては「体力、個人技術の重要性」があり、毎回のチームの活動日では、「走り込み、ジグザグドリブル、1対1」をずっとやっていました。

チームの活動は月曜、水曜、土曜、日曜で、週末はいつも練習か試合があります。日程は日本でもありがちのものでしょう。

そして1日の練習内容の流れとしては、

1, ストレッチ

2, 筋トレ、体幹トレーニング

3, コートの周り12周の走り

4, 約4m四方のエリアで11

5, 同じエリアで22など

これが基本的な練習内容の流れです。

ですが、日によってはインターバルの走り込みを練習前に行ったり、11の前にひたすらジグザグドリブルを行ったりしていました。

この、中学のクラブチームの練習では11とジグザグドリブルを毎回長時間していた印象です。

先程記載をした練習内容を見ても分かる通り、日々の練習では試合はしなく長い時間ずっと11です。ろくにサッカーでの基本となるパスもシュートも練習はしなく、私は2年間そのチームに在籍していましたがシュート練習は1度しかやっていません。

もちろんサッカーで重要な戦術トレーニングも一切なし。

練習試合の時にも、試合の前にはコートの周りを12周アップとして走り、日によってはインターバルの走り込み。

試合では特に戦術なども言われず、私は「試合中お前はパス禁止」とも実際に言われました。そして、試合に出ていない選手はグラウンド横の日向でずっとジグザグドリブル。

試合の後には、「失点した点数×10回を、コーナーフラッグからコーナーフラッグまでのダッシュ」。あるいはインターバルの走り込み。

この中学のクラブチームにはこれ以外にもおかしな点はたくさんありましたが、とりあえず今覚えているのは以上です。

もちろんこれは私のいた6~7年前の話で、今では少しは変わったこともあるとは思いますが、恐らく大半は変わってないでしょう。

本当に否定すべき点がありすぎ、中学生の頃の自分はこんなクラブチームにお金を払ってサッカーをやっていたと思うと頭が痛くなります(笑)。

 

否定点

では、この中学のクラブチームの今挙げた点に関して、ざっと否定をしていきます。(あくまでも私個人の意見です。)

 

まず練習内容1つ目、練習前のストレッチですが、サッカーに過度のストレッチは不必要です。

その話題に関しては「サッカーに過度のストレッチは不必要!選手に合った量をする意味とは」でもご説明しました。

疲労の溜まった練習後のストレッチは回復をする上でも特に悪くはありませんが、練習前の過度なストレッチは悪影響です。

このクラブチームでは、練習前にもコーチたちがしっかりとストレッチをするようにと言っていたこともあり、選手たちはストレッチをやらされていました。

そして、その後に筋トレと体幹トレーニングですが、筋肉を柔らかくしたあとに固くするという何とも非効率な順序。

また、中学1年生の12~13歳の年代から筋トレと体幹トレーニングを多く行われさせていましたが、まだ筋肉が発達しにくい年齢からの筋トレは不要でしょう。

男性の筋肉は15歳から大きく成長し始め、最大は20代なので中学生の年代ではまだまだ早すぎます。やったとしても少ない量を週に1回程。ですが週に3~4回は行わされていました

 

その次の、練習内容の3つ目。

グラウンドに入って、アップを兼ねてのコート(全コート)の周りを12周走ることですが、これも本当に無駄です。

時間と体力の無駄遣いで、何の為の走りなのかが全く分かりません。

体を動かすアップとしてのジョギングならせめて1~2周。それでも夏場は不要です。サッカーはボールを使うスポーツなので、アップでも効率よくボールを使いテクニックを向上させる事が必要です。

また、サッカーはずっと同じリズムとスピードで長い距離を走り続ける連続的で周期的な動き(continuo, cíclico)ではなく、スピードも走る距離も一定ではない断続的で周期的ではない動き(intermitente, acíclico)が行われるスポーツです。

サッカーは1015mしか走りらないが、それを1試合で195回を繰り返す」という有名な言葉もあるように、長距離を走るよりも短い距離を何度も走るトレーニングがサッカーチームには必要です。

また、持久力のトレーニングであるのなら、練習の最初に行っている時点で間違いです。

持久力のトレーニングの目的は持久力をつけること。負荷の溜まっていない練習の最初に持久力のトレーニングを行うのか、負荷が溜まっている練習の最後にやるのか、どちらが良いのかと言ったら、後者の方が効率的というのは明白ですし、その方が実際の試合も想定できます。

また、持久力のトレーニングを練習の最初に行うと、その後のボールを使ったサッカーで最も重要なトレーニングの部分においての激しさと質が下がります。

 

そして次の4つ目の練習内容ですが、この1対1はボールキープです。

このトレーニングに関してはそこまで悪い訳ではありませんが、目的が「時間内でボールをキープする」ことであり、サッカーの試合の状況でそんな場面はなかなかありませんので、全く実践向きではありません。

正に練習の為の練習というか、相手との単なる我慢比べであって、サッカーチームですべき練習ではありません。

他にある悪い点としては、この1対1のボールキープを特に意識することも要求せず、数十分間も行い続け、毎回の練習で変化をさせず行い続ける事。 

目的はボールキープで、頑張る以外に選手は何も学べないので、どうボールキープをするのか、試合ではキープの後どうやってゴールまで攻めるのか、試合ではいつまでボールキープをするのか、など何も分からないままです。

同じように2対2なども行い、ラインゴールにしてラインまで攻める事も少しは行いますが、それで練習は終わりです。

 

基本的にはどのチームも練習のラスト30分程は試合をしますがこのクラブチームは試合もやらないので、練習は練習の為に行っているだけです。

選手たちが1番好きなことはゴールを決めること。そのゴールを決める練習もほぼ全く行わず、毎回同じ練習内容を行うので、選手のモチベーションは全く上がりません。

このクラブチームの方針、「体力、個人技術」は別に大きな問題点ではありませんが、これしかやらない事が問題です。

こんな11やジグザグドリブルは1人でも練習ができますし、これしかやらずにサッカーで必要な要素を無視してジュニアユースのクラブチームの活動が進んで行くのは全く理解ができません。

このようなドリブルや1対1を意識するトレーニングを行うのはクラブチームがやる事ではなく、サッカースクールのやることです。

サッカースクールでももっとサッカーというスポーツを意識して効率的な練習内容と指導をしているでしょう。

 

毎回同じ練習内容を行うのは相応しくないというのが私の意見です。

選手のモチベーションが上がらないという問題点以外にも、選手のレベルやチームのレベルや課題に応じて、その点に特化して最適な練習内容を考えるのがサッカー監督(サッカー指導者)の仕事です。同じ練習をずっと行っていても選手の学べることは限られています。

 

練習の為の練習をずっと繰り返し行っていて、試合に対する準備も行わないのに、試合で失点をすると監督は不機嫌になり、試合後にはその分の走り込みが待っています。 

本当に理不尽ですね。

ドリブルとボールキープしか行わず、パスやシュートや戦術練習も行っていないチームが無失点で試合に勝てるほどサッカーというスポーツは甘くありません。

また、試合にはコンディションを整えて万全な状態で挑む必要がありますが、練習の時と同じように試合前にもコートの周りを12周も走るなどしては練習と同じく選手の激しさが低下し、試合でのクオリティーが低下するのは当たり前です。

1週間4日のチームの活動でも、このような走り込みや、狭いエリアでの多くの接触と力が必要で負荷のかかるトレーニングを長時間行うような内容ですと選手に負荷をかけすぎですし、土曜から月曜だとそれを3日間続けることになり、実際にこれで私は中学生の頃にオスグッドになりました。

 

もちろん、これでもこのチームの監督さんは日本の指導者ライセンスも持っていますが、指導者のレベルが低すぎますね。

単に知識が無かったのか、何か他に狙いがあったのか分かりません。試合の時に「お前はパス禁止」と言われたように、私はその指導者からサッカーを教わった記憶がありません。 

 

子供のうちは知識もないのでどれが正しいのか分からず、大人の言った事が正しいと思ってしまうのは当たり前です。

サッカーの指導法は1つではなく、「これが正解!」と断言できる物もありませんが、それでも私は中学生のころに指導者に恵まれなかったというのは、私自身が監督業を学んで少なからず知識をつけて実際に自分が指導者になったので分かりました。 

小学生や中学生、高校生の年代の時に、どれだけ良いサッカーチームとサッカー指導者に恵まれるのかはとても大切です。

サッカーをプレーしている選手が、しっかりとサッカーが上達し、サッカーを嫌いになってしまわないようなサッカーチームに加入でき、簡単に移籍できるサッカー環境が日本にも必要だと感じます。

 

ご覧いただきありがとうございました。

 

サッカー監督がスペインでシーズンを戦う中での仕事。練習内容の設定

2018.09.08




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です