こんにちは、TETSUです。
今回もスペインサッカー、リーガ・エスパニョーラの試合分析を行っていきます。
2018-19シーズンが始まり、早くも3節目ですが、今節はなんと行っても世界一のセビージャダービー。この試合は負けられません。
スペインで一番盛り上がるセビージャダービーについては、「スペイン最大のセビージャダービー、セビージャとベティス」で詳しくご紹介しております。
前回に引き続き、今回の試合ももちろんセビージャについて中心に分析を行いました。
前節のセビージャの試合分析は、「セビージャVSビジャレアル、試合分析」で行いましたので、よろしければ先に御覧くださいませ。
セビージャのシステム
今回のセビージャのシステムは、前節と同じの「1-3-4-2-1」のような形です。
システムとメンバーについては、下の図の通りです。
リーガ・エスパニョーラ前節のビジャレアル戦からは、左サイドのエスクデロのみがスタメンから外れ、他の10人は変わっておりません。
前節の試合内容を考えれば、バスケスはスタメンから外しても良い気がしました。また、バネガとロケ・メサの中盤では、ダービーでのベティスの中盤を抑えられるのか心配でした。ベティスのホームですし、勢いに乗って相手の攻撃の時間が長くなることも考えられます。
セビージャは、EL(ヨーロッパリーグ)予選があったため、中2日での試合となり、その試合に出ていたメンバーのコンディションが気になりますが、どちらもセビージャのホームであるピスファンの試合なので移動時間も少なく、大事なダービーなのでチームとして選手のコンディションもしっかり調整しているでしょう。ですが、やはりこの試合への準備する時間は限られていたでしょう。
対するベティスは平日に試合がなかったので、しっかりと時間がありましたし、ここまでセビージャのスタメンが変わっていないと対策はやりやすいでしょう。
ベティスのシステムとスタメンは下の画像の通りです。
ベティスのシステムは試合中の状況によって変化していましたが、私は「1-4-3-3」と表します。
とても面白い戦術で、しっかりとこのセビージャダービーの為に準備してきたようなイメージです。
私はセビジスタなのでベティスは全く好きではありませんが、ベティスだけに関しても詳しく分析をしたくなる程でした(笑)。
セビージャとベティスのポジションニング
セビージャは、前節と同じようなプレスの仕方が理想で、そうしようとしているように試合開始から見えましたが、それが機能しませんでした。
それは、ベティスの選手らのポジションニングと動きによってです。
セビージャの前節のプレスについては、前節の試合分析の記事でもご紹介しました。
そして、下の画像が、今回のセビージャのマークとプレスの形です。
本来の1-3-4-2-1の形から、1-4-4-2のようになる時間が多かったです。
相手CBがボールを持った際。12番のアンドレス・シルバはパスコースを切っており、17番のサラビアはもう1人のCBと左サイドバックにプレスの行ける位置。ですが、そのSBには16番のナバスがマンツーマンでプレスに行っているので、サラビアはサイドには戻らず前に残る事が増えます。
そして、逆サイドのサイドバックには、22番のバスケスがプレスに行きます。左サイドの23番アラーナは、サイドに張っていた相手の右ウイングのテージョについていたためです。なので、バスケスはナバスのように、相手のSBをサイドの味方に預けにくい状況でした。
乾には25番メルカド、FWには4番ケアーが1対1でマークしており、左CBの3番セルジ・ゴメスが余ったりしたりしなかったりで、最終ラインはカバーの選手がいなかった状況です。
そして、中盤は2人が相手選手を気にしつつも、ゾーンを守っていましたが、ベティスのカナーレスが上下に動き、そこを7番ロケ・メサと3番セルジ・ゴメスで何とかついていっている感じでした。
それにより、1-4-4-2のポジションニングになっており、ボールがどこに運ばれても変わらず、チームとしてズレが出ていました。
2つのサイドでのズレが出ていても、特に崩されてもいなく、セビージャのやりたいように出来ていたなら良いですが、そうでもありませんでした。
20分過ぎまで、このように対応させられていました。このこともあり、開始からずっとベティスのペースでの試合ともなったでしょう。逆に、よく20数分で少しは慣れて対応したようにも感じますが。
実際のセビージャのプレスの画像です。
DFも全員が1人づつ見なくてはいけない状況で、距離感も悪いのは相手に合わせてしまっているからでしょう。
セルジ・ゴメスは1人のマークを放していますが、他の選手も最低1人は見ています。なので、セルジ・ゴメスが放したマークを誰かが対応できる訳でもありません。
この1-4-4-2の形は、セビージャは意図的ではないものだと思います。
スタートから、セビージャの前節は「1トップ2シャドー」の形で、ベティスのCBに22番バスケスがプレスに行っていたシーンもありました。ですがその場合ですと、相手のSBとウイングでのズレが起こっていました。
また、左サイドでは、23番アラーナが後ろめでしたが、右サイドの16番ナバスは前節同様縦への意識がしっかりと感じられました。
ベティスの狙い
ベティスがボールを保持している際。
先程のセビージャのマークのズレの説明の画像でもそうですが、ベティスの前線の選手は相手の間に入ってボールを受けることと、相手の背後をずっと狙っていました。
先程にも少し書きましたが、セビージャのDFライン(ベティスの前線)では、ほぼ数的同数になってしまっています。
試合開始から、その点が心配でした。
マンツーマンで付いていた4番ケアーはロレンに1対1で勝っていたので、なんとか失点までは行っていませんでしたが、セビージャはセカンドボールが拾えない回数が多かったです。特に前半のベティスペースだった時間で。
それは、2ボランチがDFとの距離感の悪さと予測の遅さからです。
下の画像です。
これは、後方にボールを蹴られた場面です。
セビージャのDFが下がって対応したのですが、ボランチの下がりが遅く、水色の丸の大きなスペースを空けてしまっています。
ですが、ベティスの選手はいち早くセカンドボールを拾うためにそのスペースに入っています。
このダブルボランチは2人とも圧倒的な体格でもないので、遅れると相手に競り勝つことは難しいです。
この点以外にも、相手FWが4番ケアーを背負ってボールを受けた時に、ボランチが一緒に挟んでボールを奪えると楽だったのですが、距離がありプレスも出来なかったシーンもありました。
また、ベティスのFWロレンも左の乾も、各DFの間且つ背後でボールが来るのを待っています。
その背後から、斜めの動きでボールを呼び出す動きも多かったですし、実際にその動きでボールを貰っていました。
そのような動き出しから何度もベティスのチャンスになったシーンがありました。
セビージャのDFはマンツーマンだったので、カバーの選手もいません。
その動きが少し複雑になり、38分。
ベティスがゴールを決めるも、オフサイドでノーゴールになったシーンです。
下の画像です。
ここではFWロレンが下がります。ケアーはずっとロレンをマークしていたので彼に意識が行ったままで、背後への意識が更に薄れます。
その時に背後からカナーレスが斜めに飛び出し、DFラインを突破されました。
カナーレスについて行っていたセルジ・ゴメスは、そちらに流れてきたロレンへの意識か、オフサイドを意識して、カナーレスを追うのを辞めました。
セビージャのオフェンス面
セビージャは、前節の攻撃とは違い、特に前半はサイドからシンプルにクロスを狙っていました。試合開始から20数分までは、セビージャが攻撃をする回数も少なかったのですが…
2シャドーのサラビアとバスケスは、サイドの前のスペースにはあまり走り込まず、クロスに合わせるためにシンプルにゴール前に入っていました。
下の画像のシーンでもそうです。
サラビアも右サイドに近い位置にいましたが、ゴール前に方向転換しています。前節の動きではサイドの奥に流れていたでしょう。
ですが、ベティスのサイドへのプレスも強く、右サイドのナバスが孤立する場面もちらほら。
数回ですが、前節のようにサラビアが奥のスペースに流れてボールを受けていたプレーがあり、そうするとスムーズに行っていましたが、3人の動き出しを見るとチームとしての狙いがあってこのようにしてきたようです。
試合開始から勢いの合ったベティス相手に、ビルドアップも失敗する場面が目立っていたセビージャです。
ベティスは、セビージャが後方でボールを持った際は、ほぼ同数でハメに行っています。
下の画像です。
奪ったらチェンスになるボランチのところでは、そこまで低すぎる位置でなければ積極的にマークをしに行っていたベティスです。
15~20分までは、先程紹介したポジションのズレと、ダービーのベティスのホームスタジアムのビジャマリンの雰囲気もあり、セビージャはあまり上手くビルドアップができません。
ですが、何回か前線に上手くパスが渡ったのは、そのプレスを回避するために、1つ飛ばしたロングパスです。
19分のシーン。下の画像です。
ここでも、ベティスは前から人数をかけようとしていますが、その分セビージャの選手がフリーになります。ボールを持っているケアーからナバスにボールが繋がります。
ですが、毎回ロングパスが上手く繋がることも無ければ、競り合いの強いCBのところでは難しいですし、ベティスのプレスがそこまでキツくこない時間帯もありました。
今回は、前節のように「ポゼッションをしながら、サイドを使って攻撃していく攻撃」ではなく、カウンターから相手ゴールに迫る事が多かったです。
しかし、ベティスの守備では、「奪われたらカウンターをさせないために、まずはガッツリ縦を消す」というような守備の印象を受けました。
後半にナバスがカウンターで突破しようとして、ハーフェーライン際でファールされた場面でもそうです。
ベティスの得点シーン
この試合は1-0でホームのベティスの勝利でした。
この得点も、最初に私が説明したような、セビージャのズレから生まれた得点だと私は考えます。
セビージャはハーフタイムや給水タイムでマークについての確認と修正をしていたと思いますが、ロケ・メサが退場して11対10になって、最初よりも更に難しくなりました。
先に得点シーンの画像です。
ホアキンが2列目のフリーな状態から、ボールに合わしてDFの間に入って、ヘディングです。
ホアキンは試合に入った時から、ほぼずっとそのフリーなスペースにいました。
そこというのは、乾のいた左シャドーより少し下がり目の、セビージャのボランチ横のスペースです。
セビージャの右サイドのナバスは、下がっていたとしても試合最初からずっと相手のSBを警戒しています。
メルカドは乾を見ていましたが、乾が逆サイドに行きました。ホアキンを見るとそのまま変わらずでしたが、ホアキンは下がりめのポジションなのでマークには行かずに、DFラインを意識してケアーのカバーに入ります。
ケアーは変わらずFWをマーク、セルジ・ゴメスもメルカドと同じようにDFラインを意識、アラーナは乾とテージョを警戒。
ボランチの右にいたバネガは選手交代と退場者により左に行き、右には臨時でサラビアが入りましたが、彼は後ろへの意識が低いのでホアキンをすぐに放してしまう。
ボランチ中央に入った、ゴナロンはボールと共にスライドをするので、ボールが左に行ったら、もちろん左に行きます。
なので、そこにスペースが空き、ホアキンはフリーな状態で基本的にその空いたスペースでボールを受けようと待っていました。
途中出場で入ったホアキンの得点ですが、もちろん出場前にはベンチでコーチから色々と言われていましたし、彼自身でも入ったときのイメージはしていたのでしょう。
恐らく、このスペースの事も伝えられていたはずです。
前回のセビージャの試合分析でも私が説明したとおり、このボランチ横のスペースが開き、このスペースへはCBもサイドの選手もボールが来るまではあまり埋めようとしません。
下の画像のシーンでもそうです。
画像のシーンでは、まだボールが低めの位置にありますが、水色のスペースはずっと空いたままでした。そしてなんどもこのスペースでホアキンは味方にボールを呼んでいます。
結果、そのセビージャが埋められなかったスペースを起点に、又、前半同様にDFの背後と間に走り込まれ、良いクロスが来てゴールになりました。
セビージャの人数が途中で少なくなったので一概には言えませんが、結局は試合開始から問題だったマークとプレスのズレが失点に繋がったような状況です。
このダービーには、絶対に勝って欲しかったので、セビジスタからしたらとても悔しいですね。
この敗戦がきっかけで、チームの勢いが無くならないことを祈るしかありません。
ご覧いただきましてありがとうございました。
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