セレッソ大阪vsヴィッセル神戸【サッカー試合分析】両監督の戦術策

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こちらの記事は、私がJクラブで仕事を始める前の、2019年2月23日に公開した記事です。

こんにちは、TETSUです。

久しぶりのブログ記事の更新です。 

サッカーの試合はちょこちょこっと見ていましたが、ブログ記事制作にはあまり時間を避けなかったため、久しぶりのブログの更新となってしまいました。

 

2019シーズンのJリーグが開幕するということで、初戦は「セレッソ大阪vsヴィッセル神戸」。面白いメンバーとなったヴィッセル神戸の試合がJリーグの開幕戦になり、とても気になったので見ることにしました。

更に、両チーム共にスペイン人監督で、どちらも興味深い戦術のサッカーをするので、見るしかないと思いました。

 

なので、今回はJリーグ開幕戦である、「セレッソ大阪vsヴィッセル神戸」の試合分析を行います。

※私の時間の都合により、前半しか見ていません。ので、後半の内容については触れていません。

サッカー監督がスペインでシーズンを戦う中での仕事。練習内容の設定

2018.09.08

両チームのシステム

両チームのシステムとスタメンは、以下の画像の通りです。

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ヴィッセル神戸は1433の形です。

攻守問わず基本的にはこの形ですが、ボール保持時はイニエスタがセンターフォワードの位置から下がって来るので、実質0トップ。

 

セレッソ大阪は、守備時は1541。攻撃時は13421のような形に変わります。 

 

先程にも少し記載しましたが、私の時間の都合で前半しか見ていません。なので、前半を見た中での試合分析です。本当は、試合の最後まで見て、23度見直し、徹底的に行いたかったのですが、できる範囲で行いました。

ですが、私は試合の前半が個人的には好きです。というのも、前半は、お互いに自らのゲームプランを実行しようとし、この試合のために監督が準備をしてきたことが分かりやすく出るからです。

ですが、試合の中での修正ポイントは、後半にでるのでそこもまた良いのですが…

 

ヴィッセル神戸の攻撃

ヴィッセル神戸は、1433のシステムです。

ですが、ビルドアップ時や、ゾーン3(フィニッシュのエリア)などでの崩しの時には、前に選手を押し上げて、後ろは23枚で成立させることも多かったです。

バルセロナのようというか、マンCのようというか、サンパオリ時代のセビージャというか(リージョさんはサンパオリ監督と一緒にセビージャでやっていたため)…

 

前線3トップの両サイドは、基本的にサイドに広がってプレーをします。そして、イニエスタは下がってプレーするので、中盤は4枚のダイヤモンドの形になることが多いです。

 

SB(両サイドバック)が中に入り押し上げる偽SBの方法は、昨年の横浜F.マリノスでもやっていましたが、あまり効果的だとも思えないのが私の意見です。

ヴィッセル神戸もこのような場面がありました。

下の画像です。

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これは、西とポドルスキの位置が偽SBとは逆ですが、ポドルスキがそこにいると、サイドの高い位置にいる西に直接パスが出ません。相手も引き付けてしまい味方のパスコースを消しています。

確かにより中央でボールを受けると、相手にとって危ないエリアに入っていけることもありますが、コートが狭くなり中央でスペースを作るのは難しくなります。

先程の画像でいう、一般的にSBがいる赤の丸のところで受ける方が、簡単にサイドの高い位置までボールを運べますし、コースを広げ中央でスペースを作りやすくもなります。

それか、両CBがもう少し広がり、赤の丸に近づけば良いですが、画像でもCBの距離は近いです。

 

ヴィッセル神戸は、ショートパスを多く使って攻めていましたが、ゴール前の崩しになると、ペナルティーエリアの周りにみんないて、中に入ってくる選手は本当に少ないです。

WGはサイドに広がり、ポドルスキもエリアに入ってこないので、センターフォワードの役割を果たせる人がいません。

ビジャはまだ、イニエスタが下がって空いた中央のスペースに入ってボールを要求したりもしていましたが、ポドルスキはほとんどなく、ボールをもらうために下がってきてしまう印象です。もちろん、サイドから中に走って来る方が、スピードを活かしゴールに迫れ、且つDFの視野の外から中央にいけますが、そのようにゴールを狙う場面はありませんでした。

ヴィッセル神戸を見ていると、右SBの西の攻撃力を活かすために右サイドがより高い位置になる場面もありました。それと同じでポドルスキが中に入り、西にスペースを与えるほうが良いと感じます。

大きな存在の外国人選手が増えると、チームに良くも悪くも影響が出やすいのでしょう。

 

ヴィッセル神戸の縦の関係性

ヴィッセル神戸の攻撃に関して、あなたに伝えたいのは「縦のギャップ」です。

これは非常に面白いなと思いました。

 

ヴィッセル神戸の選手は、お互いの動きをよく見てプレーしていました。

「縦のギャップ」というのは、お互いに逆方向に動くということです。その為には、お互いの動きを見て、感じることが大切です。

 

下の図で簡単にご紹介します。背番号は、ヴィッセル神戸のメンバーと同じです。

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矢印が多くありますが、「縦のギャップ」の動き出しで基本となるのは、ポドルスキ・イニエスタ・ビジャの3人の青色の矢印です。

 

簡単に言うと、『青の矢印と反対の方向に他の選手が動く』ような事です。

簡単な、左サイドで例えるなら、「ビジャが中に行くと、19番初瀬はオーバーラップ」、「ビジャがサイドに行くと、19番初瀬はインナーラップ」といった感じで、逆方向から前に追い抜いていきます。これは右サイドでも同じです。

左サイドは、この関係性がまだ良かったですが、右サイドはほとんどポドルスキがサイドにいるパターンで、西が内側ばかりになっていました。これではポドルスキがゴールに近づくこともできず、相手も対応しやすくなります。

 

中央で例えるなら、「イニエスタが下がると、5番山口か14番三田が前に抜けていく」ような感じです。これは14番三田が多くやっていたので、山口はやや下がり目で、バランスを取ることが多かったです。

ですが、中央の2人は、それに加えて、サイドの裏にも流れることもあります。つまり、縦への矢印と斜めの矢印の方向があるということです。現に、山口と三田は、サイドの裏に流れてボールを呼んでいる場面がありました。しかし、これに関してはまだ成熟していないこともあり、両SBと動きが重なることもありました。

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どのエリアにいても縦の矢印を意識させるような抜け出しで、

“パスを回しながら味方の動きを見て、タイミングを見つけ、人が抜けてボールを出していく“ようなイメージですが、イニエスタがいるからできることです。

 

この「縦のギャップ」の動き出しは、今後より良くなっていくのではと思います。

ですが、最終的に足りなかったのは、先程の説明と同じくゴール前でフィニッシュをするセンターフォワードがいなかった事というのが感じます。

 

セレッソ大阪の攻撃

セレッソ大阪のシステムは、守備時は1541。攻撃時は13421

 

この試合を見た人ならだれでもわかると思いますが、セレッソ大阪の守備は良かったですね。スライドと絞りの速さ、プレスの速さもあり、ヴィッセル神戸のそこまで崩されることはありませんでした。流石ロティーナ監督です。

ですが、ヴィッセル神戸が長い時間ボールを支配していたので、その分後ろに重くなり、その後の攻撃への展開は難しそうでしたが、イバンコーチのやろうとしていることは見えました。

 

見ていて気になったのは、「CBの位置」です。

チームがボールを持っていても、そこまで広がらずに前にも行かずに、近めの距離感を保っていました。

 

さらに「2人のボランチの位置」。

そのボランチからサイドへのロングパスが何度もあり、、、これがセレッソ大阪の1つの狙いだと確信しました。

その確信した内容は、

    CB3枚で後ろへの逃げ手となるパスコースを作ると同時に、ボランチへのパスの出しても増やす

    ボランチを相手3トップの間に固定し、ボールを受けさせ、相手を中央に寄せる

    空いた、両サイドの選手へのロングパス

    そのときに、2シャドーも内と外の間にいるので、相手SBをサイドへ行きにくくする。又、そこでサイドに行ったら、2シャドーを使う

 

下の画像の通りです。

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CBは前に出ず、ボランチへのパスを通します。ボランチの2人はヴィッセル神戸の3FWの間で待ち、なので大きな動き出しはしません。

そこで受けると、両サイドの2人がフリーな状況が多く、ソウザもロングパスを蹴っていました。

それは2シャドーが相手ボランチとSBの注意を引いていたからです。

 

下の画像もそうです。

ここでは、ソウザではなく奥埜が受け、そこからサイドへ展開しています。

この時、右シャドーの水沼が相手SBの初瀬の側にいるので初瀬はプレスに行けないので、遅れてボランチの三田が行きます。

しかし、それによって清武がフリーな状況になります。

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といったセレッソ大阪の攻撃のイメージですが、あまりうまく行かなかったのは、色々と原因があります。

 

右サイドでフリーな状態でボールを受けていた舩木ですが、利き足が左足のようですね。なので、サイドでフリーな状態で受けても体の向きが悪く、コントロールも横か後ろ向きにコントロールをしていました。それでは前への推進力に欠けます。

他には、ヴィッセル神戸の選手感の距離が近かったので、ボールを奪っても、すぐに中央でボールを奪いかえされていたからでもあります。

が、それはセレッソ大阪が縦方向(後ろ)のパスが上手く使えず、攻撃への時間を上手く使えなかったからでもあります。縦に急ぎ過ぎていたからです。

ヴィッセル神戸は奪った直後でも、ボールを動かし上手く時間を使えていた場面もあったので、その間に味方がポジションについて、自分たちのリズムで攻撃がしやすくなっていました。

それも「イニエスタがいたからできた。」とも思えてしまいますが(笑)。

 

さいごに

前半を見ていて、「前半では両チームとも得点は入らないな」と思っていましいた。

Twitterでもつぶやきましたが、戦術面的には面白かったですが、試合の展開的にはあまり両チームともゴールに迫ってはいなかったので。

 

セレッソ大阪もヴィッセル神戸も、これからチームの戦術面が更に構築していったら面白そうで、両チームも追いかけてしまいたくなりました。

自分はサッカーの戦術面が大好きなので、両監督とも興味深い戦術をするスペイン人というのも、何か熱いものを感じます。(笑) 

 

2019年Jリーグの「横浜F・マリノス」の戦い方を細部まで分析し、解説しました。この試合分析も是非御覧ください↓

2019年横浜F.マリノスの試合分析【アタッキングサッカー】Jリーグ

2019.02.26

 

ご覧いただきありがとうございました。

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2018.05.19




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