こんにちは、TETSUです。
今回は、初めてリーガ・エスパニョーラの試合の試合分析を行います。
今までにはJリーグの「横浜F・マリノス」の試合分析は何度か行っておりました。
今回分析をするチームは、もちろんセビージャです。
リーガ・エスパニョーラ第一節のラージョ・バジェカーノ戦の試合分析も行うつもりでしたが、試合を観ることすら出来ませんでした。
今回のビジャレアル戦は先日ようやく観られたので、何とか試合分析を行えました。次節がセビージャダービーでもあるので、その前にせめて1試合の分析をやっておけてよかったです。
リーガ・エスパニョーラが観られる、セビージャが観られるので、分析をしていてとても嬉しかったです。
ですが、プレシーズン含め、今シーズンのセビージャの試合を観るのはこの試合が初めてでした。
初めてのチームの試合で分析時間も限られていた為、あまり深くは試合分析を行えなかった点についてはご了承下さい。
セビージャのシステム
セビージャのシステムについては下の画像の通りです。
今シーズンのセビージャは、「1-3-4-2-1」のようなシステムで戦っています。
システムも戦い方も昨シーズンとは全く違うのですが、今節の中では3人が新加入の選手です。毎年半数以上の選手が移籍するセビージャらしくはないですね(笑)。
新しくマチン監督が来て、彼の戦術に適応しているセビージャですが、今シーズンのセビージャは8月頭からEL(UEFAヨーロッパリーグ)の予選を戦っているので、早くチームを完成に近づける必要がありました。
その影響もあり、まだリーガの2節ですがそこそこチームとして形になっている状況が多かった印象です。もちろん、これから改善していくことも多いですが。
そして今回の相手は、近年ピスファンで粘り強く戦って、勝ち点を持ち帰っているビジャレアルでした。(今回も引き分け)
試合中のセビージャはほぼシステム通りの選手の配置です。
セビージャのオフェンス面
セビージャは、しっかりと後ろからボールを繋いでビルドアップしていきます。
3バックは適度に広がり、2ボランチが中でパスコースを作り、サイドと前線は広がり、2シャドーのサラビアとバスケスは引いて受けることもありますが裏に抜ける事が多いです。
中からサイドにボールを展開していくのですが、そのときに中心となるのは、2ボランチのバネガとロケ・メサです。
この2人に関しては後ほどまた話をします。
サイドの2人、左のエスクデロと右のナバスはしっかりとサイドに張って、幅を作っています。
下の画像のシーンでもそうです。
この時は、左CBのセルジ・ゴメスがボールを運んでいるのですが、両サイドのエスクデロとナバスはしっかりと両サイドに広がっております。
これは、3CBや2ボランチの誰がボールを持っていてもほぼ同じです。
両サイドは広がりますが、前に行き過ぎていないのは、ボールを足元で受けやすくするためと、前に開けたスペースに2シャドー(バスケスとサラビア)が流れてプレーをするためです。
なので、サイドのどちらかがボールを受けたら、2シャドーはサイドの前のスペースに流れる動きが多く、その2人を起点にサイド攻撃が機能している回数が多かったです。
特に、右サイドのナバスとサラビアの関係性はよく、これから更により良くなっていく事が楽しみです。
ですが、試合開始9分のシーン。下に画像もあります。
左サイドのエスクデロがサイドでボールを待って、ボールを受けました(この時も、逆サイドではナバスが幅をとっている)。
エスクデロはボールを受け、中に向かってドリブルをしています。
その時、左シャドーのバスケスはエスクデロの後ろにいて、近寄ってボールを受けに行っています。
これにより、エスクデロは1対2の状況になったのでドリブルで仕掛けるのをやめて、後ろに来たバスケスにパスをし、そのままバスケスはDFラインまでボール下げる結果になりました。それにより、縦への攻撃が出来ませんでした。
この時にバスケスは、相手の裏のスペース(水色の円)に抜ける方が良かったです。 ここを使って下さいと言わんばかりに、ビジャレアルのCBも中央に寄っています。
バスケスの後ろにはボランチのロケ・メサが同じところのスペースでボールのサポートに行っています。この時点で2人の動きが被ってしまっています。
この場面ではバスケスが裏に抜けないので黄色の丸で囲われたディフェンスもエスクデロに対応し、相手のディフェンスが統一されたままです。
バスケスが裏に抜けると、相手の1~2人のディフェンスが背後のケアをするため、それにより相手のディフェンスラインを下げさせて、相手を押し込み脅威になる攻撃に繋がります。裏のスペースでボールを受けても受けなくても走り込むだけでです。
相手の意識が後ろに行くと、ロケ・メサが足元でボールを受けるスペースも広がるので、わざわざDFラインまでボールを下げなくて済んだかもしれません。
このバスケスのサポートの動きはシャドーではなく、ボランチの役割でしょう。バスケスは足元で受けたがる選手なのでしょうがないですが、これでは攻撃の流れを止めてしまいます。
逆に、もう1人のサラビアは、何回も裏へ抜ける動きを行っていたので、その分相手のディフェンスも裏を警戒しナバスに時間が生まれたシーンも多かったです。
後半である、64分。選手交代によってサラビアがバスケスのプレーをしていた左シャドーのポジションに入ってすぐのプレー。
同じように左サイドのエスクデロがボールを持ち、すぐに裏のスペースに抜けてボールを受けるサラビア。
下の画像です。
これにより、相手は後ろへ下がるしかないので、相手を深くまで押し込めます。もう一度エスクデロが受けても相手は下がっている状態なので、エスクデロに余裕が生まれます。
「バスケスがずっと裏へ抜けずに、サラビアがずっと裏へ抜けている」という訳ではもちろんありませんが、昨シーズンからセビージャの攻撃の流れを止めてしまいがちなバスケスよりは、ビダルやノリートの方が前への推進力があるので良い気がします。
前半も後半も、サイドの張りを生かしてのサイドチェンジと裏への抜け出しから、良いサイドの過剰攻撃がありましたが、あとはクロスの質と中の選手とのタイミングですね。
2年前のエメリさんが監督だったときのような、サイドの活性化が観られたので今後が楽しみです。
セビージャのディフェンス面
セビージャのディフェンス時も、システムとほぼ同じ選手のポジションニングです。
プレスは高い位置からはせず、中央へのパスコースも消しつつ相手を待つようなイメージです。
3バックでは、相手の2人の選手がサイドで張られると対応しにくいのですが、ビジャレアルは特にそうしてきませんでした。
「相手の両SBがCBに並んで低い位置にいる時は、2シャドーがその2人に対応しますが、上がってきたらサイドの選手が対応するように変わっていました。
2シャドーの選手はCBにもプレスに行きます。1トップは相手CBかアンカー位置の選手へのパスコースのカット。
2ボランチのロケ・メサとバネガは、マークしている相手ボランチの選手が下がってもマークを続けます。」
プレスに関しての簡単な画像です。
この際のズレは、相手CBがシャドーを引き付けて、相手SBがフリーな状態でボールを受けることです。
それに近い状況は、12分にありました。下の画像です。
深い位置からセビージャはプレスに行って、セビージャの2シャドーは相手CBにプレスに行きます。
左サイドのエスクデロは相手SBへのプレスを辞めて後ろに下がった時に、相手SB(画像手前の黄色の丸)はボールを受けて、その選手がドリブルで駆け上がります。
エスクデロは後ろ方向に走っていたため、ボールホルダーへのプレスが遅れます。
サイドにパスを出され、その選手には左CBのセルジ・ゴメスが行くが、その時は3CBの距離感も良くはなく、その横のロケ・メサは相手のカソルラをフリーにしています。
そのカソルラにボールが渡りましたが、彼のパスミスでセビージャはボールを奪えました。
ですが、この相手SBからのサイドのズレは危険です。
バネガとロケ・メサのダブルボランチは、近年のセビージャらしからぬ高さのない2人ですが(エムビア、クリホヴィアク、イボーラ、エンゾンジなど)、2人とも高いキック精度があり(ロケ・メサは左足での展開する場面もあり、バネガは言わずとしれたゲームメイク力)、サイドへの展開力もあるのでより良い攻撃が出来ます。
ですが、2人の所で奪われるともちろんピンチになり、それは昨シーズン同様です。バネガの位置で狙われピンチになったシーンがこの試合でもありました。
ですが、3人のCBからのサイドの展開、CBが持ち上がる場面もあったので、このビルドアップも増えれば相手は的を絞らせることが難しくなるので良いですね。
また、2人の中央の守備力が心配でしたが、前線がパスコースを切っていたり、ビジャレアルがロングボールを蹴ったりすることもあり、そこまでその欠点は目立つ回数は多くなかったです。
次節以降では、注目です。
前半にもあったのですが、守備時に2ボランチが近づきすぎて、その横のスペースが空き、使われることがありました。
下の画像です。
ビジャレアルは右サイドを攻めているため、ボランチのロケ・メサはDFラインに寄ってカバー行きます。
その際にバネガもボールサイドに寄り過ぎて、相手ボランチがボールを受けたらバネガがプレスに。
その結果、本来ボランチがいる、中央のエリアを大きく空けてしまいます。
ボールを受けたトリゲロスはそのエリアに入っていき、シュートを打たれました。(シュートは外れたが、より高いレベルでは失点する)
ボランチがサイドに寄り過ぎる事があるのですが、この2人の能力を考えると2人だけで中央を守るのも少し厳しく思えます。
ロケ・メサも試合中に要求していましたが、3CBが連動して効果的に前に出てプレスに行くか、シャドーが戻るなど、守備エリアの連動を改善しなくてはいけないでしょう。
この場合では、ロケ・メサがDFラインまで下がる必要はあまりありませんし、バネガがボールにプレスを行く必要もありませんでした。
また、逆サイドのナバスが中に寄っても良かったでしょう。この状況ではDFラインに6人。他のシーンでもDFラインに5人が並び、その前にボランチの2人という状況もありました。
今シーズンのセビージャの試合分析の1試合目ということで、今回はこの辺りで…
マチン監督のサッカーはこれからより良くなっていくような印象でした。セットプレーもほぼ毎回変化を付けていたので面白く、セビージャでEL3連覇した当初のウナイ・エメリさんのような雰囲気を感じました。
これからの改善がとても楽しみです。
ですが、時節は世界一のセビージャダービーということで、内容はどうであれ、セビージャには必ず勝って欲しいです。
Vamos mi Sevilla!!!!
ご覧いただきありがとうございました
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