こんにちは、TETSUです。
私情ですが、ここ最近忙しく、ろくにリーガの試合だけでなくサッカーの試合すら見られていませんでした(笑)
なので、今回は久しぶりにしっかりとサッカーの試合(私の大好きなスペインのリーガ・エスパニョーラの試合)が見られて、とても嬉しいです。
さて…
2018-19スペインサッカー、リーガ・エスパニョーラも第13節まで来ました。
今回は、注目の試合である、
「アトレティコ・マドリードVSバルセロナ」
の試合の試合分析を行います。
今シーズンのバルセロナの試合分析は、前回に「Rソシエダvsバルセロナ試合分析。」で行いました。
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両チームのシステムとスタメン
まずは、両チームのシステムとスタメンです。
下の画像の通りです。
ホームであるアトレティコ・マドリードのシステムは、いつも通りの「1-4-4-2」です。
対して、アウェイであるバルセロナも、「1-4-4-2」のシステムです。
どちらのチームも怪我人が多く、フルメンバーという訳ではないです。今シーズンは例年に比べてあまり安定していなく勝ち点を取りこぼしているように、両チームがとても良い状態でもありません。
ですが、試合は見応えがありました。
バルセロナは「1-4-4-2」から「1-4-3-1-2」のようにもなっていました。というのも、バルセロナのボール保持時に中盤にいる22番ビダルは中盤で自由に動いていたからです。
ですが、システムというのはあくまで数字上のものだけなので、特に気にしすぎる必要はないでしょう。両チームの戦術面に関してはこれからご説明します。
シメオネのバルセロナ対策、その1
試合を見ていて面白かったのは、シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリードのバルセロナ対策です。
主に守備面。
シメオネ監督のアトレティコ・マドリードは守備から流れを掴んでいくチームです。試合の立ち上がりから規律の取れた守備をしています。
「中央でボールを奪いたい、中央を突破されたくない」ので、4-4-2の守備ラインを作し、スライドをしながらしっかりと中央を閉じています。
そして、前からプレスに行き過ぎると中央にスペースを空けてしまい、バルセロナのポゼッションで中央を簡単に突破されてしまうので、高い位置やバルセロナのCBにはそこまでプレスには行かず、ゾーン2の低い位置からのプレスをチームで行っています。
※ゾーン2とは、コートを横に3つに分けて考えたときの、中央のゾーンに該当します。
バルセロナの攻撃においての強みは、SBのオーバーラップ(この試合のスタメンではジョルディ・アルバとセメドの攻撃参加)です。
それに対応するために、アトレティコ・マドリードはバルセロナのサイド攻撃の際に数的優位を作っています。
アトレティコ・マドリードの中盤の右にいるコケは、バルセロナの左SBのジョルディ・アルバにボールが渡ったらしっかりとプレスに行きます。
その際に、アトレティコ・マドリードの右SBのアリアスは絶対に前には出ずに、後ろのコベルトゥーラ(カバーリング)ができる位置にいます。
なので、このサイドで2×1の状況にします。
ボランチの選手も寄ったら3×1です。
下の画像の場面です。
運動量の多いコケは、チームとしてコートの中央を閉じるために中央にポジションをとって中にもプレスに行きますが、サイドにボールが渡ったらサイドにすばやくスライドします。
下の画像でもそうです。
中央でボールを持っているメッシには、コケ含め2人でプレスに行き、サイドのジョルディ・アルバにボールが出ても彼がプレスに行きます。
その際にアリアスは前に出ません。カバーリングのできる位置にいて、数的優位を作る為です。
また、逆サイドのルマルは、コート中央まで寄っていることから、アトレティコ・マドリードはしっかりとチームでスライドしており、コンパクトな守備をしていることが分かります。
下の画像です。
ジョルディ・アルバは数的不利な状況を作られるので、あまり積極的に高い位置には行けずに、効果的なサイド攻撃ができません。
これが、前半にジョルディ・アルバが試合から消えていた理由でしょう。
このアトレティコ・マドリードの守備のルールは逆サイドも同じです。
アトレティコ・マドリードの左サイド、ルマルの所。
バルセロナの左右非対称から生まれた、ズレ
アトレティコ・マドリードの守備のルールをご紹介しました。
右サイドも左サイドも同じことをやっています。
ですが、この右サイドと左サイドは状況が異なります。
というのは、バルセロナが左右非対称での攻撃を行っているからです。
バルセロナの中盤はダイヤモンドのような形ですが、左サイドにはビダルもアルトゥールもそこまで大きく広がりません。なので、バルセロナの左サイドはジョルディ・アルバのみ。
ですが中盤の右にいるセルジ・ロベルトは右サイドに大きく広がることが多いです。
なので、先程のアトレティコ・マドリードの守備のルールでプレッシャーに行っても、このサイドでの数的優位は作りにくいです。
左SBのフィリペ・ルイスが前に出て、数的同数の状況になります。
下の図のような形です。
・セメドとセルジ・ロベルトの突破力のなさ
・フィリペ・ルイスが出たハーフスペースのエリアに、スムーズにボールを運べなかった
・アトレティコ・マドリードの全体のスライドの速さ
・フィリペ・ルイスの対人守備の強さ
などの理由からでしょう。
このバルセロナの右サイド、アトレティコ・マドリードの左サイドでズレが起こった場面です。
前半7分。画像は下にあります。
アトレティコ・マドリードが攻撃から守備に切り替わり、右サイドのコケと左サイドのルマルがポジションチェンジをしなければいけなくなりました。
FWのジエゴ・コスタがプレスに行き過ぎてしまい、つられて中盤のロドリゴとコケもプレスに出てしまいます。
コケは右サイドにいた時には、SBのジョルディ・アルバにプレスに行っているので、それと同様に右SBのセメドにプレスに行きますが、セルジ・ロベルトが広がっておりサイドでフリーになっています。
逆サイドとはバルセロナの選手の数が違うので、簡単にアトレティコ・マドリードのDFと中盤のラインの間にビルドアップをされてしまい、バルセロナの攻撃に少し勢いが出た結果になりました。
またこの時には、DFのフィリペ・ルイスが前に出ないといけなくなりました。
数的同数になって、守備が遅れるとバルセロナ相手には厳しいです。
このように、セルジ・ロベルトが広がることによって、アトレティコ・マドリードの左サイドでは、「2×1」ではなく「2×2」の状況になります。
それでも、バルセロナがゴールに近づけなかったのは、先程の理由からです。
バルセロナは前半からこの点に早く気付いて、両サイドで数的同数や数的優位を作って攻めていたら、もっと攻撃に勢いが出てゴールに近づけたでしょう。
シメオネのバルセロナ対策、その2
ご紹介した、アトレティコ・マドリードの守備時のルール。
その時に、バルセロナの左SBジョルディ・アルバが高い位置にいても、中盤の選手が最初にプレスに行くことは変わりません。
例えば、36分の場面。
左サイドのジョルディ・アルバにボールが渡り、中盤の選手がプレスに行きます。(前半途中からコケとサウールのポジションは変わったので、この時のプレスはサウールが行った)
アトレティコ・マドリードの右SBのアリアスは、カバーリングの為に中にいるのでDFラインが5枚のようになり、
その分、中盤が3枚になってしまいます。
なので、FWのグリーズマンが下がり、中盤の4枚を保ちます。
下の画像です。
しっかりと、守備面でのレレボやペルムータが出来ています。
もう1人のFWジエゴ・コスタも、チームでのプレスの為にFWにしては低い位置にいますが、なるべく前に残ります。
それは、ボールを奪ってすぐに行うカウンターの為です。
ジエゴ・コスタはポストプレーもできるので、そのターゲットとして前への深さを保っています。
アトレティコ・マドリードの選手がボールを奪うと、一番にジエゴ・コスタを見ていることが多かったです。
シメオネのバルセロナ対策、その3
最初にも、「アトレティコ・マドリードはゾーン2の低い位置からの守備をしている」と説明しました。
ですが、ゾーン2の前やゾーン2の中の高い位置からのプレッシャーに行くこともあります。
・バルセロナの両CBが低い位置でのパスコースが作れていない場面
・バルセロナの選手が低い位置で、後ろを向いてコントロールをしている場面
・アトレティコ・マドリードのFWが高い位置にいてすぐにプレッシャーをかけられる状況
などで、起こっていました。
そのような場面では、アトレティコ・マドリードは激しくプレッシャーに行き、バルセロナのボールを押し戻しています。 守備から流れを掴むアトレティコ・マドリードにとっては、相手にボールを下げさせることも1つの良いことです。
このような強いプレスの時、バルセロナの右SBセメドを狙っているような場面が多かったです。
このプレスによって、バルセロナはGKまでボールを下げました。
先程にもご紹介した、アトレティコ・マドリードの左サイドでの簡単にビルドアップをされた場面にも少し似ていますが、それとは異なります。
全員の距離感が離れ過ぎてもいないですし、FWのジエゴ・コスタとそれ以外の選手全員が前へのプレスへの意識があり、中盤でもパスコースを消すプレスをしていて、フィリペ・ルイスも前に出てセルジ・ロベルトへの距離を詰めています。
よければ見比べてみてください。
バルセロナの攻守
バルセロナは今シーズンの失点が例年に比べて多いようです。
なので、この試合でもボールを保持しつつも、チーム全員の守備意識が高かったです。
ボールを失った際には、しっかりと戻ってパスコースを消しプレッシャーに行っていました。
ですが、チームとしての守備意識が高くなったら、薄くなるのはカウンター攻撃の速さです。
バルセロナの前線には、1人でゴールまで行く力があり、得点の取れるメッシやスアレスがいます。ですが、アトレティコ・マドリードが彼らを警戒しているのは当然です。
バルセロナがボールを奪い、2人に渡してカウンターをしようとしても圧倒的な数的不利なので、なかなかゴールには近づけません。(メッシがボールを持つと2人以上でプレスに行くのはアトレティコ・マドリードからしたら当たり前)
また、バルセロナは2トップなので、カウンター攻撃の時に前線での幅がなかなか作れず、バルセロナのカウンター攻撃は単調になります。
ポゼッションをしても、サイドバックはアトレティコ・マドリードに対策されて、スタメンでプレーしたビダルも中央でパスコースを探しても、パスコースがなくボールがなかなか入りませんでした。
バルセロナの守備面に関しては、ブスケツのポジションニングです。
普段は中央の低めの位置で守備をしますが、より高い位置やサイドでの守備をする回数が多かったです。高い位置で彼がボールを奪えてカウンターのチャンスになる場面もありました。
もちろん彼が抜けた所には、他の選手がペルムータをします。
久しぶりに見たリーガはやはり面白かったです。結局この試合は引き分けに終わりました。
この試合が引き分けてくれたので、私の大好きな「セビージャ」がリーガで第一位に!!!(笑)
まだまだリーガは長いですが、セビージャにはしっかりと勝ち点を重ねていってCL圏内には入って欲しいですね。
バルセロナは次節、ホームでビジャレアルとの試合です。
その試合に関しては、「バルセロナVSビジャレアル」で試合分析を行いましたので、是非御覧ください。
ご覧いただきありがとうございました。
とても久しぶりのサッカーの試合分析です。