こんにちは、TETSUです。
私は18歳の頃から約2年間単身スペインのセビージャに住んでいました。
セビージャという街はそこまで治安が悪い町でもないのですが、スペインという国は日本と違ってスリも多いです。
日本人がボーっとしながら町の中にいたら、財布や携帯電話はすぐに盗まれるでしょう。
私は日々警戒をしていた事もあってか、町中などでスリや置き引きにあった事はありません。
ですが、少し特殊な状況でお金が盗まれた経験がありますので、そのスペインでの体験談をご紹介します。
盗まれた頃
私はスペインで計2回お金を盗まれました。
1回目は12月に50ユーロ、2回目は1月に20ユーロ。
2ヶ月間の内に合計で70ユーロが盗まれました。
私は普段から節約をしていたので、日によっては全くお金を使わない日もあります。
なので、お金は電車に乗るためのカードのチャージ金額用や、もしもの時の為として、ただ単にバッグに入れておく事としており、バックに入れていたお金を頻繁にチェックする事もしていませんでした。
今思えば、もっとしっかりと管理をしておくべきだったと思います。なので、盗まれた以降は、本当に極力のお金以外は持ち運ばないようにしていました。
お金を盗まれた事に気が付いたのは家にいた時なのですが、その時は町中で盗まれたのだと思っていました。
ですが、お金は慣れていないと取り出しにくいバッグの奥にあるポケットの中に入れていましたし、電車やバスの中では常にそのリュックを前向きに付けていたので、気づかぬ内に盗まれていた事にはとても違和感がありました。
プロフィールなどをご覧になられた方は、既に存じているとは思いますが、私はスペインのサッカーコーチングスクール(スペインサッカー監督養成学校)に通っていました。
その授業内容は2種類のものがあり、教室で行う講義の授業と、実際にサッカーのグラウンドで行う実技の授業です。
科目によっても異なりますが、講義だけの日もあれば、講義をしてから実技の授業に移る日もありました。
それはいつも通りの日だった
私が2回目のお金を盗まれてから数週間後である、2月のある日。
その日の学校の授業は、教室で講義の授業をして、休み時間を挟んだ後にグラウンドに移動をして実技の授業という時間割でした。
ちなみに教室からグラウンドまでは少し距離があります。
私はその月から、実技の授業を行うグラウンドのすぐ近くの家に引っ越しをしていたので、休憩の時間に一度家に帰り、余分な荷物を家に置いて、最小限の荷物だけを持ってグラウンドに行きました。
もちろんお金も持って行ってはいません。
実技の時間には、皆の荷物はグラウンドの横に、ある程度まとまって置いています。
そしていつも通りの実技の授業が、いつも通り進んでいき、緊張感のある中での良い授業でした。
授業の最後は、私が考えたトレーニングメニューを私自身でやる事になったので行いましたが、終わると自分自身で上手く出来なかったと思う面もあり、反省をしながらグラウンドに転がっているボールや用具を集めて、
最後に、荷物が置いてあってみんなが集まっていた所に戻りました。
突然の出来事
ですが、その時は何やら騒がしかったのです。
1人の男の子が、先生やら他のみんなに責められていて、喧嘩のようになっていて熱くなっていたのです。
最初は私も全く訳が分からなかったのですが、話を聞いていると、他の生徒の財布からお金が盗まれていたらしく、その犯人としてその男の子が疑われていました。
その男の子はまだ若く18歳ほどで、他の授業の時にも私に優しくしてくれたり、一緒に話をしてくれたりすることもあったので、なぜ彼が疑われているのか訳が分かりませんでした。
先生はその日の授業の途中で、その子が他の生徒のバッグを漁っているのを見ていたらしく、それを授業が終わった後にみんなを集めて言っていたのです。
もしも見たならその時に言えば良かったのでは…とも思いましたが、授業を中断しないようにしたとの先生の判断でしょう。
その男の子は、自分のカバンの中身を全て撒き散らし、洋服を脱いで裸になり、涙目になりながらも、お金を持っていない事を証明しようとしていました。
ですがその後にも、私の隣に荷物を置いていた人の財布も空になっており、事態は更に深刻になり、口論が激しくなります。
お金が無くなった2人共、私の荷物の近くにバッグを置いていたため、私も疑われそうになりましたが、
と先生が証言してくれたので、私の疑いは一瞬でなくなりました。
(「あれ、どんだけ俺は監視されていたの?」とも思いましたが、自分は唯一の外国人で、アジア人なので、多少の偏見などはあってもまぁしょうがないです。
先生が私をしっかりと監視してくれていて、逆に助かりました。(笑))
その後も、男の子と盗まれた2人がずっと言い争いをしており、見ているだけでも凄く辛かったです。
最初にお金を盗まれたと言いだした人はそれが4回目だそうで、合計で100ユーロ程は盗まれていたそう。
その男の子は、お金を持っていなさそうだったけれど、先生の証言もあってか皆が責めていて、男の子は半泣きになりながらずっと否定をしています。
私は男の子がお金を盗んでいないと思ってもいましたが、周りの人は「あいつがやったんだ」などと話しており、本当に訳が分からなかったです。
誰がやったのかも全く分からなく、誰を信用してもいいかも分らない。
信用できる家族も友だちもいなく、そんな国に1人でいることが凄く恐ろしく感じました。
犯人が突然のカミングアウト
そんな状況が20分ほど続いていて、盗まれた人含めてみんなが、「もし持っているなら返せ、警察は呼ばないから…」などと彼を説得し始めます。
そうしたら、その男の子は急に黙り込み、近くのトイレに入って行き、お金を握りしめて戻って来ました。
自分は信じられませんでした。
いつも普段から優しく気を遣ってくれて、教室でもすぐ隣で授業を受けていて、数秒前までずっと力強く否定をしていた子が、あれだけ堂々と嘘をついて、平気で仲間のお金を盗んでしらばっくれていたなんて、本当に信じられません。
彼の事を信じていた自分にも愚かさを感じますし、本当に誰も信用できないと、人間不信になります。
スペインでスリがあることは理解していましたが、こんなにも自分の側で、いつも近くにいた人がこんなにも嘘をついてまで金を盗むとは、唖然としてしまいます。
自分も12月と1月に2度お金を盗まれていましたが、そいつに盗まれたと確信が持てました。
思い返せばお金が無くなったもの、この日のように実技の授業があった日です。
犯人が見つかったこの日に私はバッグも財布も持っていってはいませんでしたが、もし持っていっていたら恐らく取られていたでしょう。
その子が犯人だと名乗り出た後、その子は先生に残されて話しをしていましたが、その際に私は彼に直接「12月と1月に俺の金を取ったか?」と聞きました。
ですが、「覚えていない」と1言だけ言われただけです。
恐らく盗みすぎて、私のお金なんて覚えてもいないのでしょう。
呆れます。
盗まれた後
グラウンドから出ると、お金を盗まれた人と私と仲の良かった友達がすぐ側にいたので、私の事情を相談しました。
以前から盗まれていた人は、授業中に盗まれていたと感じていたようで、既に学校側に相談をしていたそうです。
なので、その日も先生が注意深く警戒をしていて、犯人を発見できたみたい。
そして、私の事情を学校側に伝えるのを手伝ってくれるとも言ってくれました。
また、その後に道で大きな声で彼らに言われたことは今でも鮮明に覚えています。
と。
正にそのとおりです。
その次の日に、お金を盗んだ男の子は保護者と一緒に学校に来ていたようで、結局退学になりました。
当たり前です。
そして私は、先生や事務の方に事情を説明して、盗まれた金額や状態などを紙に書いて提出してと言われたので、それらを書いて提出しました。
後日呼び出されたのですが、男の子が盗んだ日にちをしっかりと覚えていなく、私の盗まれた日にちとの確実性が無いとの事で、お金は戻って来ないと言われました。
恐らく、あの男の子はそこでも嘘をついて盗んだ事を隠したのでしょう。
私がクラスメートを疑っていなかった甘さもあり、その際にはお金が戻ってきたらラッキーくらいに考えていたのでそこまでショックではありませんでした。
お金を盗んで誤りもせず、嘘ばかり言っていることには本当に頭にきますが、人生は経験なので、このような経験を実際に肌で感じて体験することができて良かったと、ポジティブに捉えています。
ご覧いただきありがとうございました。